退職代行で仕事を辞めるのはクズ?
退職代行で仕事を辞めることは、クズとは言い切れません。
たしかに、何の連絡もせずに突然消えたり、会社から借りているものを返さなかったり、必要な手続きをすべて放置したりすれば、職場に迷惑がかかる可能性はあります。
しかし、退職代行を検討している人の多くは、最初から「楽をしたい」「会社に迷惑をかけたい」と考えているわけではありません。
むしろ、以下のような状態で追い詰められている人も少なくありません。
- 上司が怖くて退職を言い出せない
- 退職したいと伝えても引き止められる
- 退職届を受け取ってもらえない
- パワハラや強い叱責がある
- 会社に行こうとすると体調が悪くなる
- 電話や対面で話す気力が残っていない
- 退職を伝えた後のやり取りが怖い
このような状態で退職代行を使うことまで、ひとまとめに「クズ」と決めつけるのは乱暴です。
退職代行は、円満退職が難しいときに、本人の代わりに退職の意思を伝えてもらうための手段です。
大切なのは、退職代行を使うかどうかではなく、退職の意思をきちんと伝え、必要な手続きを放置しないことです。
目次
「退職代行を使う人はクズ」と言われる理由
退職代行に対して、否定的な意見があるのは事実です。
ネット上では、「退職代行は非常識」「退職代行を使う人は甘え」「退職代行で辞めるなんてクズ」といった言葉を見かけることがあります。
ただし、そう言われる理由を分解してみると、退職代行そのものへの誤解や、職場側の感情が混ざっていることもあります。
直接言わずに辞めるのが非常識に見えるから
退職は、本来であれば自分で上司や人事に伝えるのが一般的です。
そのため、第三者に退職の連絡を任せる退職代行は、人によっては「非常識」「逃げている」と見えることがあります。
特に、昔ながらの価値観が強い職場では、退職代行に対して強い拒否感を持たれる可能性があります。
ただ、これはあくまで「理想的には自分で伝えた方が自然」という話です。
現実には、上司が怖い、何度も引き止められる、退職届を受け取ってもらえない、心身の限界で話せないという状況もあります。
自分で退職を伝えられる状態なら、自分で伝えるのが一番シンプルです。
しかし、自分で言えないほど追い詰められているなら、退職代行を使うことも現実的な選択肢になります。
職場に迷惑がかかると思われやすいから
退職代行を使うと、会社側には突然連絡が入り、その日から出勤しない流れになることがあります。
そのため、会社や同僚からすると「急に辞められて困る」と感じる場合があります。
特に、人手不足の職場や、担当業務を一人で抱えている職場では、残された人に負担がかかることもあるでしょう。
ただし、退職代行を使う人だけが悪いとは限りません。
そもそも、誰か一人が辞めただけで業務が回らなくなる職場は、会社側の体制にも問題があります。
退職は労働者に認められた選択肢です。
「職場に迷惑をかけるかもしれない」と考えることは大切ですが、その不安だけで限界を超えて働き続ける必要はありません。
「逃げ」や「甘え」に見られやすいから
退職代行は、自分で会社と向き合わずに辞める方法に見えるため、「逃げ」「甘え」と言われることがあります。
ただ、逃げることが必ず悪いとは限りません。
パワハラ、過度な叱責、長時間労働、強い引き止め、体調不良などがある場合、自分を守るために距離を取ることは必要です。
本当に危ない職場から離れることは、逃げではなく防衛です。
無理に正面からぶつかって、さらに心身を壊してしまう方が危険な場合もあります。
退職代行を使うことより、自分を壊すまで我慢することの方が危ないケースもあります。退職代行を使ってもクズではないケース
退職代行を使うことに罪悪感がある人は、「自分は甘えているのではないか」と考えてしまいがちです。
しかし、以下のようなケースでは、退職代行を使うことを必要以上に責める必要はありません。
退職を伝えても辞めさせてもらえない
すでに退職したいと伝えているのに、会社から強く引き止められている場合です。
たとえば、以下のようなことを言われているなら、一人で抱え込まない方がよいです。
- 「今辞められたら困る」
- 「後任が決まるまで辞めるな」
- 「年度末までは残れ」
- 「退職届は受け取らない」
- 「辞めるなら損害賠償を請求する」
- 「退職は認めない」
会社に迷惑をかけたくない気持ちは分かります。
しかし、退職の意思を伝えているのに受け入れてもらえない状態が続くなら、第三者を入れて進めることも選択肢です。
期間の定めがない雇用契約では、民法627条により、解約の申入れから2週間を経過することで雇用が終了するとされています。
外部参考: e-Gov法令検索|民法
パワハラや強い叱責がある
職場でパワハラや強い叱責があり、上司に退職を伝えるのが怖い場合も、退職代行を使う理由になります。
退職を伝えたときに怒鳴られる、責められる、人格否定されると分かっている環境では、自分で話すこと自体が大きな負担です。
また、ハラスメントは個人の我慢だけで解決できる問題ではありません。
厚生労働省も、ハラスメントを含む労働問題について相談できる窓口を案内しています。
外部参考: 厚生労働省|職場におけるハラスメントの防止のために 厚生労働省|総合労働相談コーナー
退職代行は、ハラスメントの根本解決ではありません。
しかし、今すぐ職場から離れないと危ない状態なら、退職の意思を伝える手段として検討する価値はあります。
体調を崩していて会社と話せない
退職代行を使う人の中には、すでに体調を崩している人もいます。
朝になると動悸がする、会社のことを考えると涙が出る、眠れない、食欲がない、出勤前に吐き気がする。
このような状態で、上司と冷静に退職の話をするのは簡単ではありません。
「自分で言えないなんて情けない」と責める必要はありません。
体調を崩しているときは、通常ならできる判断や連絡も難しくなります。
その状態で第三者の力を借りることは、甘えではなく現実的な対処です。
会社から直接連絡されたくない事情がある
会社からの電話やLINEを見るだけで苦しくなる場合もあります。
上司からの連絡が怖い、怒られるのが分かっている、何を言われても反論できない。
このような状況では、自分で退職を伝えようとしても、途中で心が折れてしまうことがあります。
退職代行を使えば、会社に対して「本人への直接連絡を控えてほしい」と伝えてもらえる場合があります。
ただし、会社からの連絡を法的に完全に禁止できるわけではありません。
それでも、連絡窓口を退職代行に寄せられるだけで、精神的な負担が下がる人は多いです。
退職代行を使うこと自体より、雑な辞め方に注意する
退職代行を使うこと自体がクズなのではありません。
ただし、使い方によっては、職場とのトラブルが大きくなったり、自分にとって不利になったりする可能性があります。
大切なのは、退職代行に任せる部分と、自分で対応すべき部分を分けることです。
貸与品を返さないのは避ける
会社から借りているものは、退職時に返却する必要があります。
たとえば、以下のようなものです。
- 社員証
- 健康保険証
- 制服
- 鍵
- 入館証
- パソコン
- スマートフォン
- 社用車
- 業務資料
- 名刺
- 会社のクレジットカード
退職代行を使う場合でも、貸与品の返却は本人側で対応する必要があります。
直接会社に行きたくない場合は、郵送で返却できるかを退職代行経由で確認しましょう。
私物を放置しない
職場に私物が残っている場合も注意が必要です。
ロッカー、デスク、制服置き場などに私物があるなら、処分してよいもの・返送してほしいものを整理しておきましょう。
退職代行を使うと、会社に行かずに退職手続きを進めることがあります。
そのため、私物の扱いを曖昧にしたままだと、退職後にやり取りが増える可能性があります。
可能なら最低限の引き継ぎ情報を残す
退職代行を使う場合でも、可能であれば最低限の引き継ぎ情報は残した方がよいです。
完璧な引き継ぎ資料を作る必要はありません。
ただ、以下のような情報だけでも整理しておくと、トラブルを減らしやすくなります。
- 担当している案件
- 進行中のタスク
- 顧客や取引先の連絡状況
- データの保存場所
- 締切
- 注意点
体調的に難しい場合は無理をする必要はありません。
しかし、できる範囲でメモを残しておくと、自分自身の罪悪感も少し軽くなります。
退職後の書類は確認する
退職後には、会社から受け取る書類があります。
たとえば、源泉徴収票、離職票、雇用保険被保険者証、退職証明書などです。
退職代行を使って会社と直接やり取りしない場合でも、退職後の書類は確認しておきましょう。
書類が届かない場合は、退職代行や公的窓口に相談することも検討してください。
退職代行を使う前に整理しておきたいこと
退職代行を使う前に、少しだけ状況を整理しておくとスムーズです。
精神的に限界のときに、完璧な準備は必要ありません。
ただ、以下をメモしておくだけでも、相談時に説明しやすくなります。
なぜ自分で退職を伝えられないのか
まずは、自分で退職を伝えられない理由を整理しましょう。
たとえば、以下のような理由です。
- 上司が怖い
- 何度も引き止められている
- 退職届を受け取ってもらえない
- パワハラがある
- 体調を崩している
- 電話や対面で話すのが難しい
- 会社に行くこと自体ができない
理由が整理できると、退職代行にも状況を伝えやすくなります。
「自分が弱いから」ではなく、なぜ直接伝えるのが難しいのかを具体的に見ることが大切です。
今日から出勤できる状態か
次に、今日から出勤できる状態かを考えましょう。
退職代行を使う人の中には、すでに出勤が難しい状態の人もいます。
その場合は、退職代行に相談するときに以下を伝えるとよいです。
- 今日から出勤できないこと
- 会社からの電話に出るのが難しいこと
- 有給を使いたいか
- 欠勤扱いでもよいか
- 退職希望日
- 会社に置いている私物
- 返却が必要な貸与品
「即日退職」と書かれているサービスでも、法的な退職日と、今日から出勤しないことは別です。
そのため、今日から出勤しない形を希望する場合は、最初の相談で必ず伝えましょう。
会社から借りているものは何か
貸与品の確認も重要です。
会社から借りているものを返さないままにすると、退職後にトラブルになる可能性があります。
退職代行を使う場合でも、貸与品は郵送で返却できるケースがあります。
返却物を一覧にしておくと、会社とのやり取りを減らしやすくなります。
退職後に必要な書類は何か
退職後に必要な書類も確認しておきましょう。
特に、転職活動や失業給付の手続きに関わる書類は重要です。
- 離職票
- 源泉徴収票
- 雇用保険被保険者証
- 退職証明書
- 健康保険資格喪失証明書
退職代行に依頼する場合は、会社へ書類の郵送を依頼してもらえるか確認しておくと安心です。
「退職代行を使ったら人生終わり」は本当?
退職代行を使うことに対して、「人生終わり」「転職で不利になる」と不安になる人もいます。
しかし、退職代行を使った事実が、必ず転職先に知られるわけではありません。
履歴書に「退職代行を使って退職」と書く必要もありません。
転職活動で大切なのは、退職代行を使ったかどうかよりも、なぜ辞めたのか、次にどう働きたいのかを整理しておくことです。
もちろん、短期離職が続いている場合は説明が必要になることがあります。
ただ、それも「退職代行を使ったから終わり」という話ではありません。
退職代行を使ったかどうかより、次の職場選びで同じ失敗を繰り返さないことの方が大切です。転職面接で退職代行の話をする必要はある?
基本的に、自分から退職代行を使ったことを話す必要はありません。
面接では、退職理由を聞かれることがあります。
そのときは、退職代行を使ったかどうかではなく、退職に至った理由や、次に改善したいことを伝えれば十分です。
たとえば、以下のような伝え方です。
前職では業務内容や働き方が自分の希望と合わず、長く続けることが難しいと判断しました。次は、事前に仕事内容や体制をよく確認したうえで、腰を据えて働ける環境を選びたいと考えています。
無理に会社批判をする必要はありません。
また、退職代行を使ったことを隠すために嘘を重ねる必要もありません。
聞かれていないことまで話さず、退職理由を落ち着いて説明できるようにしておきましょう。
退職代行を使うか迷ったときの判断基準
退職代行を使うべきか迷っているなら、次の基準で考えると判断しやすくなります。
自分で退職を伝えられるなら、まずは自分で伝える
自分で退職を伝えられる状態なら、まずは自分で伝えるのが一番シンプルです。
退職代行は便利な手段ですが、すべての人に必要なものではありません。
上司と冷静に話せる、退職届を出せる、引き止められても意思を伝えられる。
このような状態なら、退職代行を使わずに進めてもよいでしょう。
直接言うのが怖いなら、退職代行を検討していい
一方で、直接言うのが怖くて動けないなら、退職代行を検討してもよいです。
特に、以下に当てはまるなら、一人で抱え込まない方が安全です。
- 退職を言い出すと怒鳴られそう
- すでに体調を崩している
- 会社から強く引き止められている
- 退職届を受け取ってもらえない
- 上司からの連絡を見るだけで苦しい
- 明日から出勤できる状態ではない
退職代行を使うことより、限界を超えて働き続けることの方が危険な場合もあります。
法的な不安があるなら公的窓口や弁護士も選択肢
退職代行だけでなく、公的な相談窓口や弁護士に相談した方がよいケースもあります。
たとえば、以下のような場合です。
- 未払い賃金がある
- 退職金で揉めている
- 損害賠償を請求すると言われている
- ハラスメントの証拠がある
- 懲戒解雇をほのめかされている
- 会社から脅しのような連絡が来ている
厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、いじめ・嫌がらせ、パワハラなど、幅広い労働問題を相談対象としています。
外部参考:
退職代行はあくまで退職意思を伝えるための手段です。
金銭請求や法的トラブルがある場合は、弁護士対応のサービスや公的窓口も検討しましょう。
退職代行で辞めることより、自分を壊す方が危ない
退職代行を使うか迷っている人は、すでにかなり自分を責めていることが多いです。
「こんな辞め方をしたらクズだと思われる」 「社会人として終わっている」 「逃げたら人生終わり」 「周りに迷惑をかける自分が悪い」
そう考えて、動けなくなってしまう人もいます。
でも、本当に考えるべきなのは、周りからどう見えるかだけではありません。
今の職場に居続けて、自分の心身が壊れないか。
これ以上働き続けて、生活や健康を保てるか。
退職代行は、理想的な辞め方ではないかもしれません。
しかし、理想的な辞め方ができないほど追い詰められているなら、現実的な選択肢になります。
退職代行を使うことは、人生の終わりではありません。むしろ、限界の職場から離れて、次の生活を立て直すきっかけになることもあります。
まとめ:退職代行で辞めるのはクズではない。大切なのは放置しないこと
退職代行で仕事を辞めることは、クズとは言い切れません。
たしかに、自分で退職を伝えられるなら、それが一番シンプルです。
しかし、パワハラ、強い引き止め、体調不良、退職届の受け取り拒否などで、自分ではどうしても伝えられない状況もあります。
そのような場合に退職代行を使うことは、甘えではなく、自分を守るための手段です。
ただし、退職代行を使う場合でも、以下はできる範囲で対応しましょう。
- 退職の意思を明確にする
- 貸与品を返却する
- 私物の扱いを確認する
- 必要書類を受け取る
- 可能なら最低限の引き継ぎ情報を残す
- 法的トラブルがある場合は公的窓口や弁護士に相談する
退職代行を使うことよりも、何も言えないまま限界を超えて働き続けることの方が危険な場合があります。
「退職代行を使う自分はクズなのかな」と悩んでいるなら、まずはその言葉で自分を責めすぎないでください。
辞め方に悩むほど真面目に考えている時点で、あなたは無責任に逃げようとしているわけではありません。大切なのは、今の状況を放置せず、自分が壊れる前に現実的な方法で抜け出すことです。
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